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1102 支点桁工法の保育園(岐阜県美濃加茂市)

【主な外装】
屋根:ガルバリウム鋼板
外壁: シラスそとん壁

【主な内装】
天井:クロス貼
壁 :杉板(岐阜県産)、クロス貼
床 :唐松(岐阜県産、白鳥林工)

【概要】

はじめに

今般建築を行っている、社会福祉法人森山学園(以下森山学園)の雨天防 音体操場(以下、増築園舎)は、手狭になった園舎の増築とと、和太鼓練習 場の新設を目的にした、防音遊戯施設です。
? 森山学園は情操教育の一環として和太鼓を活用した音楽教育に取り組んで います。しかし、既存園舎の間取りは、練習場として使っている遊戯室を取 り囲むように保育室が配置されているので演習中は他の教室へ音が筒抜けと なるため、実施に苦慮しておりました。
本計画が実施に至るまでに鉄筋コンクリート2階建ての園舎の計画をして おりましたが、社会福祉法人が設置する保育園を岐阜で伐採された木材で建 築すれば、農林水産省の「岐阜県森林整備加速化・林業再生基金事業(以 下:加速化事業)」による補助を受けることを知り、当初計画よりも保育室 の規模を小さくして平屋での増築園舎建築に至りました。

補助事業の特徴

補助補助の条件は、構造材、仕上材の木材はすべて岐阜県で合法的に伐採 された「ぎふ証明材」を用いることです。合法的とは、伐採に関する届出を 提出した材料をいいます。また、木材を取り扱う市場や製材所は「ぎふ証明 材推進事業者」の登録を受けたところに限られ、ぎふ証明材とそれ以外が混 ざらないように貯木、製材をしなければなりません。(詳細は岐阜県 Webiste 岐阜証明材推進制度の概要を参照)

増築園舎の特徴

増築園舎の遊戯室の梁間隔(スパン)は約10mあります。上述のとおり 補助事業の趣旨から施設の構造を木造とし長スパンで実施する場合は、集成 材構造を採用することが一般的ですが、今回は、岐阜県立森林文化アカデ ミーの小原勝彦准教授ととも、集成材に頼らないでスパンを飛ばす工法を検 討し、木材のめり込み耐力で支え合う「支点桁工法」を採用しました。支点 桁工法は、空間を構成する2本の梁に対して、直行方向にめり込ませるため の桁を挿入するものです。
この工法によって、幅18センチ、高さ42センチで長さ10mと8mの梁に よって、無柱空間を構成することに成功しています。
また、地震や風圧に抵抗するための耐力壁は構造用合板を用いています。 これも「モリレン合板」というぎふ証明材で作られた針葉樹合板を採用して います。また建物東面(グランド側)には9センチ角の木材を直行方向に組 み合わせた「面格子」による耐力壁を採用し、デザインと構造を両立を狙っ ています。

木材の調達について

幅18センチ、高さ42センチの木材を原木で採ろうとすると、直径約50セ ンチの原木が必要になります。長さ10mの末口部分で直径50センチの原木というと、樹齢約120年前で高さが約40mほどになります。10m、8mを併 せて36本とはいえ、 大径木で長い原木は調達するだけでも時間を要しま す。
今回は工法が確定した時から、岐阜県内の林業家や森林組合に大径木の調 達について平行して打ち合わせを進めていました。納期3~4ヶ月を要し て、ようやく36本の原木を県内関市上之保と、白川町内で調達することが できました。
土台、柱材、梁材を製材には、500本以上の丸太を使い、中心で必要な部 材を採った残りの辺材部分で、胴縁や垂木などの下地材を採りました。
今回は2カ所の産地から伐採された原木を用いて、一件の建築物に必要 な、構造、下地、仕上材を調達できました。

材料調達における設計事務所の関わり

大径木の強度測定は、伐採前の立木の状態と、製材、乾燥後の2回測定を 行っています。高価な部材なので、立木の状態で強度が得られないものは伐 採せずに選定しました。 また、乾燥後の強度測定によって、最終的な担保を確認しています。 アーキ・キューブは木材の調達とマネージメントを行い、強度測定と構造計 算補佐は、森林文化アカデミーの卒業生である株式会社MSDが担当してい ます。

まとめ

今回のプロジェクトでは、岐阜県産木材の積極的な使用にとどまらず、森 林文化アカデミーの教授陣の監修、学生の見学会やプロジェクトへの参画、 アカデミー卒業生の物件への技術協力など、人材の積極的活用にも取り組ん でいます。

ここに至るまでに、林業家や 建築技術者など大勢の関係者のご協力を得ています。
園児、保護者と5月に伐採見学会を9月に製材所見学会を実施しました が、園児の記憶の中に高さ40メートルを超える木材がどーんと倒れる瞬間 が、記憶が残っていなくても、増築園舎の遊戯室設けた丸太の柱をみんなで 登って遊ぶ中で、木造建築物に使われている木材は、すべてが、山に生えて いる木(原木)から町で使われる製材までの一本の線でつながっていること を、理解してくれることを願っています。

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